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伊勢物語23段:筒井筒(つついづつ)③ 品詞分解

伊勢物語23段:筒井筒(つついづつ) 現代語訳


伊勢物語23段:筒井筒(つついづつ) 訳語・文法の解説



    ・かの高安

    ➡「例の高安の女のところ」


    ・来てみれば

    →「来」「て」「みれ」「ば」
    →「来:カ変・連用形」「て:接続助詞」「みれ:マ行上一段・已然形」「ば:接続助詞」

    ⇒【已然形+ば】は、「順接の確定条件」で「原因・理由」「偶然」「恒常」のいずれかを表す。
      ここでは、「男」が「高安の女性」の所に行かなくなった理由としての「食べ方」という日常の事象なので
      「恒常条件」の「~~するといつも」の方が良いだろう。


    ・初めこそ心にくくもつくりけれ、

    →「初め」「こそ」「心にくく」「も」「つくり」「けれ、」
    →「初め:体言」「こそ:係助詞」「心にくく:形容詞ク活用・連用形」「も:係助詞」「つくり:ラ行四段・連用形」「けれ:過去の助動詞・已然形

    ⇒【こそ+已然形】は係り結び(「こそ」➡「けれ」)
    ⇒係り結びになった「けれ」に「、」と読点が付いている。本来は係り結びで一区切りの所ではあるが、意味的にはまだ続くので読点が付いている。(同様の事は「土佐日記」にも見える。 )

    ⇒「心にくく」は「奥ゆかしい」の意味。

    ➡「初めの方は奥ゆかしく取り繕っていたが、」と訳す。


    ・手づから

    ⇒「てづから」と読む。「自分の手で」という意味。


    ・いひがひ

    ⇒[飯匙]と書く。「しゃもじ」の事。


    ・笥子

    ⇒「けこ(けご)」と読む。([笥籠]と書く場合も)「竹で作った器・入れ物」の事。


    ・盛りけるを見て

    →「盛り」「ける」「を」「見」「て」
    →「盛り:ラ行四段・連用形」「ける:過去の助動詞・連体形」「を:格助詞」「見:マ行上一段・連用形」「て:接続助詞」

    ⇒「ける」と連体形になっているので「体言」を補って訳すと分かり易い。
    ➡「盛った様子を見て」。


    ・心うがり

    ⇒「心憂がり」。「憂」は「憂鬱」の「う」。「気持ちが冷める」の意味。


    ・さりければ

    →「さり」「けれ」「ば」
    →「さり:ラ変・連用形」「けれ:過去の助動詞・已然形」「ば:接続助詞」

    ⇒「さり」は「さあり」の略で、前の「心うがりて行かずなりにけり」を受ける。
    ⇒「けれ」「ば」は【已然形+ば】であるが、今度は「~~ので」という理由で訳す。

    ➡「(女の食事の様子から気持ちが冷めて)男が来なくなったので」


    ・をらむ

    →「をら」「む」
    →「をら:ラ変・未然形」「む:意思の助動詞・終止形」

    ⇒「をら」は「をる(居る)」。


    ・雲な隠しそ

    →「雲」「な」「隠し」「そ」
    →「雲:体言」「な:副詞」「隠し:サ行四段・連用形」「そ:終助詞」

    ⇒【な+連用形+そ】で「禁止」を表す。
     (菅原道真が大宰府に配流される際の「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 主無しとて春な忘れそ」が有名)



    ・「来む。」

    ⇒「こむ」と読む。「来」は「カ変の未然形」なので「こ|き|く|くる|くれ|こよ」。

    ➡男の発言としては、本来「行かむ」となるが「来む」となっていることに注意する。


    ・過ぎぬれば

    →「過ぎ」「ぬれ」「ば」
    →「過ぎ:ガ行上二段活用・連用形」「ぬれ:完了の助動詞・已然形」「ば:接続助詞」

    ⇒「過ぎ」は「過ぎ|ぎ|ぐ|ぐる|ぐれ|ぎよ」
    ⇒「ぬれ」「ば」は同じく【已然形+ば】で「理由」を表す「~~ので」。


    ・頼まぬものの

    →「頼ま」「ぬ」「ものの」
    →「頼ま:マ行四段・未然形」「ぬ:打消しの助動詞・連体形」「ものの:接続助詞」

    ⇒「頼む」は「当てにする」と言う意味で、前の部分でも出てきたが、「当てにする」の他に「(生活の)頼りにする」の意味もあるが、ここは前者の意味。

    ➡「(あなたが来るのを)当てにしていませんが、」と訳す。


    ・恋ひつつぞ経る

    →「恋ひ」「つつ」「ぞ」「経る」
    →「恋ひ:ハ行上二段・連用形」「つつ:接続助詞」「ぞ:係助詞」「経る:ハ行下二段・連体形

    ⇒【ぞ+連体形】は係り結び(「ぞ」➡「経る」)。