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平家物語:「木曾殿の最期(今井四郎只一騎、五十騎ばかり~)」のテスト問題の解答


    (1)

    イ)あぶみ ロ)だいおんじょう ハ)おんめのとご

    (2)

    イ)夕暮れ時 

    (3)

    イ)完了の助動詞「つ」の終止形+現在推量の助動詞「らむ」の終止形

    ロ)尊敬語(補助動詞) 今井四郎→五十騎ばかり(の武士)

    ハ)今井四郎はたった1騎で、50騎ばかりの敵の中に駆け入って、鐙を踏ん張って立ち上がり、大声をあげて名乗りをしたのは「いつもは、噂で耳にしていたであろうが、今は目でも見なさい。

    (4)

    イ)「討つ(促音便)」

    ロ)四段動詞「しろしめす」の未然形(尊敬の本動詞)+尊敬の助動詞「る」連用形+存続の助動詞「たる」の連体形+現在推量の助動詞「らむ」の連体形

    (「しろしめす」は「統治する」「ごぞんじである」の二つの意味がある尊敬語。「たる」は完了・存続とあるが連体形を取る場合には「存続」で訳してみるとよいだろう)

    ハ)(自分は)木曾殿の御乳母子である今井四郎兼久で、年齢は33である。そのような者がいると言う事は鎌倉殿(頼朝殿)までもご存知でいらっしゃるだろうよ。この兼平を討って(鎌倉殿)に御覧にいれよ

    (木曾義仲の側近として鎌倉殿までも知っている有名人であるから、自分は価値が高いと言う事を宣言しているシーンである。「まかりなる」は「なる」の謙譲語、「見参」も「面会」の謙譲語である。)

    (5) イ)「切つ(促音便)」

    ロ)ぞ→なき

    ハ)射残している八本の矢を矢継ぎ早につがえて射る。(相手の)生死のほどは分からないが、直ぐに敵8騎を矢で射落とす。 その後で刀を抜いて、あちらに駆けていき、こちらに駆けていき、切って回るので正面から立ち向かう者もいない。(敵の)武器を沢山捕獲した。(相手は)ただ「弓矢を射って倒せや」と言って、中に取り囲んで雨の降るように弓を射たけれども、鎧が素晴らしいので裏まで(弓が)通らず、隙間を射ないので傷も負わない。

    (「分捕り」に関しては「武器」「相手の武将(の首)」と言う二つの理解が可能)

    (6)

    イ)「張つ(促音便)」

    ロ)木曾殿はただ一騎で、粟津の松原へ駆けていらっしゃるが、正月21日の夕暮れ時であり薄い氷が張っていて、深い水田があるとも知らずに、馬を勢いよく突っ込んでしまったので、馬の頭も見えなかった。(鞭で馬を)あおってもあおっても、打っても打っても動かない。

    (7)

    イ)「追つ(促音便)かかつ(促音便)」「よつ(促音便)引い(イ音便)」「落ちあう(ウ音便)」「取つ(促音便)」「てん(撥音便)」

    (「追つかかつ」は「追かか」の「ひ」「り」が音便化したもの。「よつぴいて」は「よて」の「く」と「き」が音便化したもの。 「取ってんげり」は「取りてけり」の「り」と「て」が音便化したもの。
    ※なお、「追ひ」(ハ行四段)と「よく」(形容詞)の場合には本来は「ウ音便」になるはずだが、ここは「追つ(促音便)」と「よつ(促音便)」とそれぞれ「促音便」になっている事に注意。 ここは、木曾殿の最期の場面でもあり非常に臨場感高まる場面でもあるので、力強い「促音便」にあえてしたものと考えられる。)

    ロ)尊敬語(尊敬の補助動詞) 作者→木曾殿(地の文なので「作者」から)

    ハ)四段動詞「取る」の連用形(促音便)+完了の助動詞「つ」の連用形(撥音便)+過去の助動詞「けり」(訛って「げり」)の終止形

    ニ)今井の行方がはっきりしないので、ふりあおぎなさっているひたいの部分を、三浦の石田次郎爲久が追い付いて、(弓を)良く引いて、ひゅっと射る。深い傷であったので、かぶとの正面を馬の頭に当ててうつ伏せになっておられる時に、石田の家来二人が落ち合って、とうとう木曾殿の首を取ってしまった。」

    (「取つてんげり」と、木曾殿のシーンのクライマックスであるが、もう一つの「巴」が御田八郎師重の首を取ったシーンにも「捨ててんげり」と言う表現が使われていた事を思い出したい。)

    (8)

    イ)下二段動詞「聞こゆ」の未然形+尊敬の助動詞「さす」の連用形+四段動詞「給ふ」の連用形(尊敬の補助動詞)+完了の助動詞「つ」の連体形

    (前のパートである「今井四郎、主従二騎になつて~」でも「日本国に聞こえさせ給ひつる木曾殿」と言う表現が出て来ているが、そちらは存続の助動詞「つ」であったが、こちらは完了の助動詞「つ」となっている。 これは、木曾殿が生きている前のパートと死んでしまった後ろのパートの違いと言う事に忠しましましょう。)

    ロ)終助詞の「ぞ」+間投助詞「や」

    ハ)太刀の先に(首を)貫き、高く差し上げ、大きな音量の声で、「近頃、日本国で有名であった木曾殿を、三浦の石田次郎爲久が討ち申し上げたぞ」と名乗りを上げたので、

    (9)

    イ)「貫かつ(促音便)」

    ロ)か→べき  こそ→けれ

    ハ)今井四郎は戦っていたが、これを聞いて、「今となっては誰をかばおうとして戦いをするべきであろうか(いやすべきではない)。これを御覧なさい東国の武士達、日本一の勇猛な武士が自害をする手本を。」と言って、太刀の先を口に入れて、馬から逆さまに飛び落ちて、(太刀に)貫かせて死んでしまった。こうして、粟津の松原の戦いは終わったのだった。