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枕草子25段:すさまじきもの 品詞分解



枕草子25段:すさまじきもの 現代語訳・品詞分解《前半》



    験者(げんざ)がもののけを調伏すると言うので、大層得意げな顔で独鈷(とこ)や数珠(ずず)などを (よりましに)持たせて、蝉の鳴くような声を絞り出して読んで(座って)いるが、まったく(もののけが)退散する気配もなく、
    (よりましに)護法童子もつかないので、集まり(座って)念じていると、(そこに集まっていた)男も女も不思議だと思ふのに、 時刻が変わるまで(お経を)読み疲れてしまって、「まったく、(護法童子)が付かない。立ちなさい。」と言って 数珠を(よりましから)取り返して、「ああ、効果がないなぁ」と言って 額から上の方に(自分の髪を)なで上げ、あくびを自分からして、 ものにもたれて寝てしまった(のは興ざめである)。


    ・験者→【しゅげんしゃ】のこと。

    ・調ず→調伏する(たたりを退散させる。)


    ・(よりまし)→修験道において、”悪霊”や”護法童子”を乗り移らせるための依り代となる人の事。この【よりまし】に”悪霊”を乗り移らせてから退治する。

    ・持たせ→【よりまし】に独鈷や数珠をもたせて

    ・いささか➡ず → 「副詞」の「いささか」と「打消し」の「ず」がワンセットになって 【まったく~~なく】と訳す。

    ・さりげ→去る気配


    ・あやし→古文では「あやし」を”身分が低い”と言う意味で訳す事が多いが、この場合には文脈上”不思議”と言う意味に訳す。

    ・さらに➡ず → 「さらに」は本来形容動詞だが、副詞として機能させるため、ここも「副詞」+「打消し」のワンセットとして考える。

    ・立ちね→「ね」は、完了の助動詞「ぬ」の命令形。 「な」「に」「ぬ」「ぬる」「ぬれ」「ね」

    ・あな→感動詞で”あぁ”などと訳す。下に「や」と間投助詞が続いている事も注意

    ・よりふし「ぬる」→【連体形】で文の末尾が終了しているので、何か省略されていると考える。この場合には【すさまじきもの】。



    ひどく眠たいと思っていると、それほど(親しいとも)思わない人が、起こしてきて、無理矢理ものを言う事はひどく興ざめなものである。


    ・いとしも➡ぬ → 「副詞」+「打消し」のワンセット

    ・「おぼえ」→記憶にある 「え」「え」「ゆ」「ゆる」「ゆれ」「えよ」

    ・こそ➡すさまじけれ → 係り結び