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日能研の意欲的な挑戦:直近の模試・テストに見る工夫 (2019年9月)
直接的には「国語」そのものには関係がないが、担当している生徒が日能研の模試を受けたところ、「算数」と「理科」で面白いことを見つけたので触れておくとする。
端的に言えば、問題文に色々と仕掛けがされてきたと言う事である。
「算数」は、円周率を
3.14
では無く【
3.1
】で計算をしなさいとなっていたこと。
「理科」は、輪ゴムを切った「伸び」の問題で、図が幾つかある問題の設問の中で図3の事を4行位の説明をした後で、
図2
の場合の長さは幾つか?と言う説問であったこと。
どちらも設問の文章をしっかりと読んでいれば解答は可能な問題で間違える筈はないのだが、しかし、この生徒さんはどちらの問題でも間違えてしまっていた。
大人の視点から見れば、間違えようのない、どうして間違えるのか?に首をかしげる様な話なのだが、実際にこの生徒さんに解き直しを目の前でしてもらうとその原因は直ぐに判明をした。
「
3.14
と書いてあると思った」
「
図3
だと思った」
と言うのが、生徒本人の発言である。
ここで、「もう一回設問を読んでみようか?」と問いかけて設問を読んで自分の間違いに気づけるのであれば優秀で、恐らくは設問を読みなおして
「
分からない
」
と言う答えが返って来る方が高いだろう。
なぜならば、偏差値が高い人は、この様な設問の文章に伴うミスは余りしないものである。
この手のミス
をするのは、やはり偏差値が伸び悩んでいたり、中堅を狙う生徒さんに良く見られる現象であったりもする。
問題文や設問をしっかりと読めば解決の付く話ではあって、これを【
読解力
】や【
国語力
】と言うのには程遠く、人によっては”意地悪な問題”という風に受け取る方もおられるだろう。
しかし、現実に日能研がこの手の問題・設問を出してきたのは、それだけ今の小学生が問題や設問を読まないで
「何時もの~~だろう」「前、こうだったから」
という空恐ろしい判断で問題を解く生徒さんが余りに多いのだろうということを思わずにはいられないのである。
日能研は中学受験のパイオニアではあるが、近年は難関校合格者の輩出ではSAPIXや早稲アカの後塵を拝している。
とはいえ、この数十年で蓄積したデータや経験値が揺ぎ無いのも一つの真理であって、現場の生徒の実情をも良く把握しているとも言えるだろう。
この日能研の一見、”意地悪な問題”の出現は、色々と伏線(2020年からの大学入試共通テストへの対応)があっての事だとも思えるが、この様な問題・設問が続くことで、少しでも文字をしっかり読んで条件を汲み取ろうという雰囲気が生徒さん達の間に芽生える事を願って止まない。
親が言っても、先生が言っても、治らない癖はなかなか治らない。
それを修正出来るのは本人の自覚と注意なのであるから、それを喚起する様な道筋を作る日能研の”
一見、意地悪な問題
”は、むしろ大英断と称えるべきものではないのか?と思ったりもするのである。