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群馬大学:2018年


    群馬大学の「小論文」は、通常の「小論文形式」の出題では無く事実上英語の問題と変わりない。
    また、内容も通常の医学部の英語と同様に医療上のテーマに関わる内容となっている。

    【問題構成】としては
    2018年度は【200字】×1問、【160字】×3問、【120字】×1問、【60字】×3問にプラス空欄補充と選択肢となっている。
    (980字+α:90分)

    【分量】としては
    概ね英文字にして1500字前後。

    【内容】
    もっとも英語の長文の内容としては、初見の単語(用語)が多く、後ろの注釈と想像力を駆使して読んでいく事が求められる。

    さて、この2018年の問題は「leech」と「maggot」という二つの生物が取り上げられた問題であった。
    「lichee」=「ヒル(蛭)」「maggot」=「ウジ(蛆)」という単語自体は市販の受験用の単語帳には掲載されておらず(ちなみに2020年08月、河合塾の「医学部単語」には掲載されておらず)、また英検一級レベルの単語帳にも登場していないので、出題者サイドが受験生にこの二つの単語を知っている事を前提にして出題したとは考え辛いのだが、それでも設問の最後の最後でこの二つの単語の意味(名称)を解答させている事から、改めて医学部英語の単語レベルの高さを窺い知る事が出来る。

    では、この問題或いは英文は「leech」と「maggot」が分からなければ読めないのか?(解答が書けないのか?)と言われれば、実際はそうでもない。
    解答には「leech」と「maggot」の機能や性質を書く部分があるが、英文を読むことで「ヒル」「ウジ」と言う名称を書かないとしても十分に点数を獲得し得るだけの事は書く事が可能である。
    要は、良く分からない(初見の)単語が出てきた際に、粘り強く何処まで文中から推理(推定)を出来るのか?という部分も見られていると考えるべきだろう。
    もちろん、生物に詳しい人や、この手の医学療法に関心が高い人の中には、答える事が可能な人物もいるかも知れないが(そして、そもそも群馬大学の医学部は、受験での理科の選択に生物が無い)、なかなかにハードルの高い事であるし、他の私大医学部の様に自分の大学が力を注いでいる領域についての出題と言う訳でもないので、徒に不安に陥るのは止めるべきだろう。
    設問の中には「rethinker」という言葉についての説明もあったが、まさに、分からない単語に出会った時に「rethinker」であれと言うのが大学の真正面な意図だろう。

    余談ではあるが「医療用ヒル」は、「スピード2」という映画の中でウィリアム=デフォーという悪役が自分の身体の中の重金属を吸いだすのに使っていたり、「ウジ」に関しては「はだしのゲン」の中で包帯で巻かれた人物の体での描写など、専門的な文献とは違う部分でも登場していたりもする。

    そういう意味で、群馬大学が問12という最後の最後で「leech」と「maggot」の名称を書けとしているのは、長文を読み、初見の単語に触れ、それでも文章や設問を理解し、解答を考えた上で辿り着いた答え(思考の結果)を書きなさいと言う意味だと考えられるのである。


    【全体として】
    「英語」の問題としては「leech」と「maggot」が問われているとはいえ、他の部分や文章についての難易度はそこまで高いとは言えず、粘り強く考えて行ける向きには攻略は可能であろう。また空欄補充(選択)も文中と連関していて容易に想像が付く。
    (但し設問文に「機序」という言葉が出てくるが)

    他方、「小論文(国語)」の問題としては、本来小論文で問われる個々人の思考や表現を問うものでもないので、若干物足りない部分は感じる。
    その意味では、「leech」と「maggot」が分からずとも、何処までその内容を丁寧に書けるか?という部分と、文中に出てきた「医学上の倫理」について認識した上で、その旨を答案にきちんと書ければ良いので、初見ほどの”ごつさ”は無いかと思われるので、何処までも「丁寧に」その部分を発揮した者勝ちであろうか。