このページを Google Bookmarks に追加

伊勢物語23段:筒井筒(つついづつ)② 品詞分解

伊勢物語23段:筒井筒(つついづつ) 現代語訳


伊勢物語23段:筒井筒(つついづつ) 訳語・文法の解説



    ・としごろ

    ➡ 数年来


    ・頼りなくなる

    →「頼り」「なく」「なる」 → 「頼り:体言」「なく:形容詞ク活用・連用形」「なる:ラ行四段・連体形」

    ⇒「頼り」は「生活のあて」という意味になるが、当時の結婚は【通い婚】と言い、男性が女性の家に通う形であったため、女性の家が生活の面倒を見ていた。

    ➡生活のよりどころがなくなっていくと、


    ・もろともに言ふかひなくてあらむやは

    →「もろともに」「言ふかひなく」「て」「あら」「む」「やは」 
    → 「もろともに:副詞」「言ふかひなく:形容詞ク活用・連用形」「て:接続助詞」「あら:ラ変・未然形」「む:推量の助動詞・終止形」「やは:係助詞」

    ⇒「もろともに」は一緒に
    ⇒「言ふかひなく」は「言ってもしょうがない」の意味から「どうしようもない」「ふがいない(不甲斐ない)」
    ⇒「やは」は【疑問・反語の係助詞】なので「~~だろうか(いやない)」と訳す。

    ➡一緒にどうしょうもない状態でふがいない状態でいることが出来るだろうか(いやない)


    ・行き通ふ所

    ⇒上でも触れたが、当時の【通い婚】の状況においては、何人もの女性(妻)がいることは良くあった。(この話は「地方官」レベルではあるが、藤原摂関家の話(「藤原兼家」)のことなどを想起すれば、分かり易いだろう)

    ➡通っていく女のところ


    ・もとの女

    ➡(最初に結婚した)妻


    ・あしと思へるけしきもなく

    →「あし」「と」「思へ」「る」「けしき」「も」「なく」
    →「あし:形容詞ク活用・終止形」「と:格助詞」「思へ:ハ行四段・已然形」「る:存続の助動詞・連体形」「けしき:体言」「も:係助詞」「なく:形容詞ク活用・連用形」

    ⇒「あし」は「悪し」と書き、「悪いの意味」。「あし」<「わろし」<「よろし」<「よし」の順。
    ⇒「る」は【已然形+る】で「りかさみしい(完了のは、サ変の然形、四段の然形に接続する)」に該当。


    ・異心

    ⇒「ことごころ」⇒「異なる心」から「女も別の男を待っている」の意味。


    ・出だしやる

    ⇒「出だし遣る」⇒「遣る」は「遣唐使の遣」で派遣する・行かせるの意味。


    ・かかるにやあらむ

    →「かかる」「に」「や」「あら」「む」
    →「かかる:ラ変・連体形」「に:断定の助動詞・連用形」「や:係助詞」「あら:ラ変・未然形」「む:推量の助動詞・連体形

    ⇒「かかる」は「かくある」が省略された形で、もとの女(妻)が自分を快く河内に送りだしてくれる事を指す。
    ⇒【係助詞や】⇒【連体形む】の係り結び。「強調の意味」を訳に盛りこめると良い。

    ➡この女は、(きっと)このような事をしてくれるのであろう


    ・前栽

    ⇒「せんざい」と読む。読み方に注意。


    ・よう

    →「よう:形容詞ク活用のウ音便」→「よく」=「よう」


    ・かなし

    ⇒「かなし」=「愛し」=いとおしい(もうひとつは「悲し」とも書くが、文脈で判断をする)