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伊勢物語125段:つひにゆく道 現代語訳・品詞分解


    昔、男が病気になって、(気持ちとして)もう死ぬだろうと感じたので、
    (人生の)最後に行く(死への)道だと、あらかじめ聞いてはいたけれども、(まさか)昨日今日の事(の様に直ぐのもの)とは思わなかったことよ。



    ・わづらひ→ 「ハ行四段動詞・連用形」 「病気になる」「調子を崩す」を「患う」と言い、今でも使う表現である(ex.長患い)

    ・死ぬべくおぼえければ→ 「死ぬ」「べく」「おぼえ」「けれ」「ば」→ 「死ぬ:ナ変動詞・終止形」「べく:推量の助動詞・連体形」「おぼえ:ヤ行下二段動詞・連用形」「けれ:過去の助動詞:已然形」「ば:接続助詞」→ ナ変動詞は「死ぬ」「往ぬ」の二つだけである。「べく」は「べし」の連体形であるが、「べし」自体に意味が多い(「すいかとめて(すいりょう・かてい・とうぜん・めいれい・てきとう)」ので注意する。

    ・かねて聞きしかど→ 「かねて」「聞き」「しか」「ど」→ 「かねて:副詞」「聞き:カ行四段動詞・連用形」「しか:過去の助動詞:已然形」「ど:接続助詞(逆説)」→ 已然形+「ど」で「~~だけれども」と訳す。

    ・思はざりし→ 「思は」「ざり」「し」→ 「思は:ハ行四段動詞・未然形」「ざり:打消しの助動詞:連用形」「し:過去の助動詞:連体形」


    「伊勢物語」の最終段に出てくるのが、この「つひにゆく道」である。
    主人公である在原業平の死を予感させる段で終りとしているが、
    【ついにゆく 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを】という「和歌(辞世の句)」で締めくくられている事で、「歌物語」というジャンルに属する「伊勢物語」の最後に相応しい作りとなっている。