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枕草子25段:すさまじきもの(除目に司得ぬ人の家。~) 現代語訳・品詞分解





    除目で官職を得られなかった人の家(は興ざめするものだ)。今年は必ず(官職を得られるでしょう)と言う話を聞いて、以前仕えていたもの達で、他に居る者達や、田舎めいた所に住むもの達などが皆集まって来て、出入りする牛車の轅(ながえ)も絶え間なく見え、参詣をする(主人の)供にわれもわれもと付き従ってお仕えし、物を食べ、酒を飲み、大騒ぎをしているうちに、(除目が)終わる明け方まで(任官を知らせる)門を叩く音もせず、


    ・除目→【じもく】 朝廷における各種の官職を決める事(人事異動)。中央省庁のものと地方のものとに分かれていた。

    人の「家」→「体言」「連体形」で終わっているので、何かを補って訳す事が多い。この場合は【すさまじ(興ざめする)】を補う。

    ・はやう→以前

    ・ども「の」→格助詞の「の」ではあるが、【同格の「の」】とされ、「~~で」と訳す。

    ・いでいる→出で入る

    ・轅→【ながえ】 当時の乗り物である牛車の牛と車の部分を繋ぐ木。

    ・ものもうで→希望の官職に任官が叶う様に神仏に参詣をする事。

    ・まゐりつこうまつり→「まゐり」「つこうまつり」→「行く」の謙譲語の「参る」の【連用形】+「お仕えする」と言う意味の謙譲語の「つこうまつり」の【連用形】

    ・ののしりあへ→(酒を飲んで)大騒ぎをする事。「土佐日記」でも出てくる表現。

    ・ののしりあへ「る」→【已然形】+「る」と言う事で、完了の「り」である事に注意。また「る」で連体形でもあるので、下に補って訳す。この場合は「時」など。



    どうも変だ、などと耳をすまして聞けば、警護の者たちの声などがして、(除目に出ていた)公卿たちが皆、退出なさってしまった。様子を聞きに、昨夜より(出かけて)寒がってふるえていた下男が、大層憂鬱そうに歩いてくるのを見る者たちは、決して聞く事さえ出来ずに、


    ・聞け「ば」→【已然形】+「ば」で、順接の確定用法となり、「~~ので」「~~だから」と訳す。

    ・さきおふ→貴人の警護にあたるもの達。道を開けるために一般人を追い払う掛け声をかけて行く。

    ・上達部→【かんだちめ】 三位以上の上級貴族をさす。公卿とも言う。

    ・たまひぬ→上級貴族の上達部が主語であるので、動詞は尊敬語を使う。

    ・「え」➡「ず」 → 「副詞」+「打消し」での「決して~~ない」と訳す。

    ・だに→「~~さへ」


    外から来たものなどが、「(こちらの)ご主人様はどこかの国司におなりになりましたか」などと問うと、返答には「何々の前の国司ですよ」と決まって答える。(主人の任官を)本当にあてにしていた者は、大変残念だと思っている。


    ・者など「ぞ」➡「問ふ」→ 【係り結びの流れ

    ・何に「か」→係助詞の「か」。疑問・反語を表すが、ここでは「疑問」。そして、係助詞なので「か」➡「たる」と【係り結び】

    ・「せ」「たまひ」→敬語が二つ重なると、【最高敬語】となるが、会話文なので、丁寧の度合いを強めていると考えれば良い。

    ・「こそ」「は」➡ 「は」以下に「なり給ひぬれ」が省略されている。(「ぬれ」と、「こそ」の係り結びを受けて【已然形】になっている事に注意)

    ・「ぞ」➡「いらふる」→ 【係り結び】


    早朝になって、すきまなく居たもの達も一人二人こっそりと退出してしまった。古くから関係があるもの達、その様に見捨てていけないもの達は、来年の国司交代がある任国を指を折って数えなどして、落ち着かずに歩いている様子も気の毒で興ざめする様子である。


    ・「の」→【同格の「の」】 ふるきものども「の」➡えいきはなるまじき【★】は、「の」を「で」として★の部分に「ども」が繰り返される。(前に出て来た同格の「の」の場合には「もの」が明示されていた)

    ・「え」➡「まじき」→ 「副詞」+「打消し」で「決して~~ない」。

    ・「ゆるぎありく」→ 空威張りをして歩くと解する考え方もあり