このページを Google Bookmarks に追加

青山学院高等部 H30年度の過去問から分かる事とその対策


    青山学院高等部の入試問題は、直接的にはキリスト教関係の事には触れていないが(中学受験だとダイレクト聞かれる事もある)、やはりミッション系の学校と言う事もあって、「人間の目的・役割」という視点を問いたいという事が問題の根底にはあると思われる。

    その視点に立ったのが、問1ということになるだろうか(「論説文」)。
    【知識人の役割】という点についてと、【知識とは】という事についてを絡めた問題になっている。

    文章自体の難易度や語句は特に難しいということは無いが、考え方として「知識人」というものについて、”選ばれた特別の地位”というスタンスをどの様に考えるかで解答の難易度は変わってくる点や、当てはまる言葉を抜き書きなさいと言う点は、似たような言い回しや文字数も多い中で探すことにもなるために、かなりの処理能力が必要になる。

    特に、この【知識】というものの位置づけを相対的なもの(変化するもの)と考えて、絶対的な地位では無いという事が理解できないと解くのにかなりシンドイ事になるのだが、その辺の問題作りと言うか、設問の出し方はかなり良く出来ていて、流石、青山学院と感心をさせられる。
    と言うことは、逆に受験生にとっては、結果的に難易度は高くなるのであって、相当に心して(吟味して)解答に当たる事が必要になるだろう。


    問2は「随筆」であり、画家である筆者の感性の研ぎ澄ませ方と、仕事との兼ね合いとを絡ませた問題で、これもまた文章自体の難易度は高くないのだが、筆者の「思索」が何かという事をしっかりと踏まえないと下手な解答を掴まされるという、これまた良く考えられた問題になっていました。

    (特に、問4の空欄④は、なかなか素晴らしい設問(選択肢)だと思います。)

    そして、古文の問3
    良くある入試問題の様に、古文単語を余り知らなくても文章自体は何となく読めてしまうのだが(H30年度は軍記物なので)、実際に解答するにはそれなりに古文単語を知っていないと難しい系。
    先の1問目、2問目がさして知識が無くても解けるように作られてはいるのに対して、この3問目の古文のおかげで知識系の難易度が上がっていると考えるべきでしょう。
    (単語が分かれば出来るというのは、ある意味「英語」にも通じるところがありますが、残念ながら「古文」に関しては高校入試も大学入試も、素材的には同じものを使う事になることが多い(ならざるを得ない)ので、この古文をどの様に扱うか(考えるか)で入試全体の解答戦略や勉強の方向性に影響が出るとも言える結構厄介なモノではあります。 )


    以上から、青山学院高等部の国語の問題は、知識は7.5、論理力も7.5程度、但し、解答に時間がかかる系の問題のために処理能力は9.0で全体としての難易度は8.8位でしょうか。
    対策としては、問題集レベルだけではいかんともし難い部分があるので、やはり他の高校の入試問題を使っての読解力や解答力(選択肢を見極める力)を鍛えて行くのが良いと思われる。
    「現代文」対策としては、青山学院高等部と同等のレベルの過去問を解きまくるという事で良いと思うが、「古文」はとなるとなかなか大変なものがある。
    それは、青山と同じようなスタンスの「古文」の問題が近年は入試問題としては少なくなっているという事情があるからなのだが、【早稲田高等学院】【本郷高校】【桐蔭学園高等部】などの過去問は、青山学院高等部の出題と似たような水準でもあるので、是非取り組んでみると良いだろう。