このページを Google Bookmarks に追加

漢文にも古文と同じようなテーマ(漢文常識)がありますか?


  • 漢文も古文と同じように大きなテーマ(ジャンル)に分かれています。

    敢えて、それを”漢文常識”と言う様に整理をしていけば、少しは漢文読解の手掛かりになるやもしれません。

    ①:統治論・君主論

    漢文の故郷である中国においては、その広大な国土と国民をどの様に統治をするのか?と言う事で多くの学問や考え方(「思想」)が生まれました。

    有名なところでは「儒教」→「孔子」「孟子」「荀子」

    「道教」→「老子」

    「法家」→「韓非子」「呂不韋」

    「縦横家」→「蘇秦」「張儀」

    「兵家」→「孫子」「呉氏」「孫臏」

    などを挙げる事ができます。これらは、所謂「諸子百家」と呼ばれる”思想家一覧”とでもいうべきものです。

    これらの思想は、時代時代の王朝や、君主によってどれが重視されるのかと言う事は違ってきますが、長きに亘って中国においてメジャーな考え方として浸透をしてきました。

    ですから、これらの思想に基づいた「政治の在り方」や「君主としての在り方」と言うものが大きなテーマとして漢文の中では取り上げられていく事になります。
    (裏を返せば、統治や君主の在り方のために思想や理論が生まれ、それが漢文として残っていったと言う事もできます)

    ②:役人として、読書人・教養人として

    中国の思想が「統治」と言う政治分野を中心に発達した事は、中国の支配体制の発展とリンクする訳ですが、中国における皇帝を中心とした独裁政治を裏から支えたのが官僚と言う 高級役人と科挙と言う高度に難しい官僚登用試験でもありました。

    この科挙に合格するためには、先ほどの「儒教」を中心にした思想を網羅し、そのうえでその思想を詩に表すと言う事が求められました(「作賦(さくふ)」)。

    そのために、いかに勉強を積むか、教養を磨くかと言う事が重視され、またこれらの過程を経て役人になってからの心得としても中心的な位置づけとなっていました。
    この事を受けて、役人としてどの様な心掛けをすべきか (また、これら役人をリタイアしたり役人の家系の事を、特に「読書人(とくしょじん)」と呼んで特別な立場であるとみなしておりました。) その事についての考え方も漢文における一大テーマとなりました。

    ③:友との関わり・人間関係

    中国は今でも「人知の国」と言われるように、どの人との繋がりがあるのかと言う事が重視されている国である事は、昔からずっと変わらない部分です。

    そのために、日本でも有名な作品である「三国志」「水滸伝」「西遊記」などでも、主従の繋がり、同僚との繋がり、 友人との関係などの人間関係について焦点が当てられている部分が多くなっています。
    (今はもう使わない言葉になりつつありますが、「親友」の事を「朋友(ポンユウ)」などと表現した時期もありました。「社葬」と言う緒方拳が主演する映画で使われていました)

    有名な「三国志」の「桃園の義」も、劉備・関羽・張飛の政治的な盟約と見る事も出来るでしょうが、 それを超えての人間同士の義兄弟の契りとするところに一種独特な人間関係を見る事も出来るでしょう。

    この事が漢文における一大テーマである事は揺るぎがない事でもあります。

    ④:詩・情景

    広大で地方により気候や風土を異にする中国では、その独特な景色や風光明媚な様子を、特に詩の形で表現をする事が試みられました。

    李白や杜甫、白居易などと言う人達の詩について学校の授業でも(当然に)学習をしていると思いますが、絶句や律詩と言う中国独特のスタイルで発達した詩についても 漢文の中では一つのジャンルとして大きな位置を占めています。

    ⑤:動物・幽霊

    中国が「人」に重点を置いていると言う部分での対局にあたるのが、この「動物」と「幽霊」と言う事になります。

    「動物」は人間とは異なる存在であり、人間よりも劣る存在として位置づけられる事が殆どですが、だからこそ「動物」と「人間」を比較する事で”人間の特質”を炙り出そうと する試みが行われているのも一つの特徴でしょう。
    また、「動物」と同じように人間とは異なる存在の「幽霊」ですが、 これは故人の生前の意思が反映したものもあれば、悪霊として人間に悪さをする存在として出てくる場合もあります。 いずれにしても、「幽霊」と人間との結びつきを考えさせる事を役割としています。

    以上が、入試問題の漢文に問われる大きなテーマ(「漢文常識」)と言う事になります。

    どうも漢文を読んでも何を意味しているのか分からないと言う人は、どちらかと言うとこの独特の漢文世界のロジック(ルール)を理解する事に努めた方が良いでしょう。
    それだけで、文法等の問題はともかくも、内容の理解や選択肢を選ぶ際に効果は発揮すると思います。